2009年1月6日
一層がんばれ、ガンバサポ!
他クラブとの比較で申し訳ないが、万博記念競技場でJリーグを取材していると、ガンバ大阪のゴール裏の声援は、か細く聞こえ、今ひとつ迫力が足りない。スタンドが低く、声が反響しにくいからかと思っていたら、どうも違うらしい。
「チームは強いのに、まとまっていない」「声が小さく、BGMのようだ」。他クラブのサポーターがガンバサポに辛辣な評価をすることを知り、年末、2人のガンバサポに胸の内を聞いた。本音トークをしてもらうため、Qさん、Xさんと匿名にする。いずれもガンバ応援歴は10年以上になる。
「ガンバが魅力あるサッカーをしているのに、自分たちは一緒にいるだけで、実はバラバラ」とQさんは憂う。クラブは2005年にはJリーグ優勝、昨年はアジア・チャンピオンズリーグ優勝、天皇杯優勝と成長し続けている。「去年の漢字は『変』だった。さらに歴史を作るために、今年はサポーターも一歩を踏み出さなければ」とQさんは語る。
ガンバは主なサポーターグループが6つあるが、連合が足りないのだそうだ。応援に力強さを欠くだけでなく、スタンドが一体となったパフォーマンスもできない。
他クラブは情報が共有されている。例えば、京都サンガは「サポーター連合会」がホームページを作り、クラブカラーでスタンドを埋めるマスゲームの予定などを告知。それに使う画用紙代などの募金を募り、余るほど集まったそうだ。浦和レッズもサポーターサイトでパフォーマンスを含め、応援に関する論議が盛んになされ、あれだけの人数がいながらスタンドは堅固な一体感がある。かつて、ガンバのスタンドも青と黒のクラブカラーの紙を使ったマスゲームが繰り広げられたが、それはクラブ側が用意したもので、サポーター側の自主的なパフォーマンスではなかった。
こうした現状は、かつて「分裂応援」の時代が続いた負の遺産でもあるという。ガンバのゴール裏は1999年から2003年まで、有力なサポーターグループがそれぞれに応援をし、末端のサポーターはどっちに同調すればいいのか、わからない状態だった。そこでクラブ側が統一を促すため、サポーター団体の登録制を敷いた。分裂応援はひとまず収まったが、クラブに依存する体質にもつながり、「求心力をもった連合会がうまれないのはその影響だった」とXさん。サポーターグループが混在しているのはどのクラブも同じだが、大方は話し合いで共同体を作り上げる道程を経てきた。「だから、他クラブのサポーターからは、『グループ間の連合を自分たちは解決したのに、何でガンバは解決していないのか』と見られているでしょう」
Qさんは、昨年5月17日の埼玉スタジアムでの一件についても、「自分たちの足並みがそろっていればあんな状況にはならなかったのでは」との思いが強い。試合後、浦和サポが出入り口を封鎖してガンバサポが出られなくなった騒乱だ。試合前にガンバ側から浦和側に水風船などが何度か投げ込まれたことが原因となっていた。「誰かが道をはずれると、周囲が他人事として関わらない風潮がある。良くないことをやっているとわかっていても、普段から個々バラバラで応援しているから、『俺が注意してもいいのか』と考えてしまう。サポーターがまとまっていれば、みんなで抑止できる発言ができたのではないか」
グループ間のつながりが密でない現状とともに、ガンバサポの特徴の一つに、特定選手を応援する「個人追っかけ」が多いことが挙げられる。2007年Jリーグ観戦者調査では、観戦動機で「好きな選手の応援に」と答えた人の比率がJ1、J2を合わせて最も高かった。「個人追っかけも、ガンバサポの構成員。『自分もガンバ大阪を支える一人』として、選手個人の応援歌の提案などもどんどんしてほしい。その方が楽しめるのではないかな」とは、Xさんの提言だ。
グループも立ち上がる。個人も立ち上がる。それぞれのサポーター道を守りながら、2009年が「ガンバサポ連合の年」になることを2人は望んでいる。(中小路徹)