2008年11月19日
自宅で楽しめる「海藻風呂」用の乾燥海藻。アイルランドの色々なメーカーから販売されている。
熱いお湯の中に海藻を入れてしばらくすると、海藻から出た「だし」(?)でお湯が褐色に染まる。
お湯の中で元の大きさに戻った海藻は、こんな感じ。
10月の声を聞くか聞かないうちに、早くも冬が到来してしまったかのような冷たい風が吹き荒れるアイルランド。この時期になるといつも、日本の温泉や温かいお風呂がとても恋しくなる。すっかり凍え切った可哀想な体を、湯船のお湯に首までつかってのんびりできたらいいのだが、アイルランドの浴槽は日本のものに比べてかなり浅く、首までつかろうと思えば自分の体を完全に横たえなければならない。しかも断熱材が浴槽に使用されていないのか、熱いお湯もあっという間にぬるま湯となってしまい、温まるどころかかえって風邪を引きそうだ。
それでもせっかく湯船があるのだから、寒い夜にはお風呂でゆっくりリラックスできないものか、と考えあぐねていたある日、店でシーウィードバス(海藻風呂)用の「乾燥海藻」なるものを見つけた。近年健康志向になってきたアイルランドでは、海藻を使った美容商品が人気。とりわけ大西洋岸で採れる海藻は良質で、海藻スパ施設も点在しているほどである。
さっそく自宅の風呂で海藻スパを楽しんでみた。網に入った北西部スライゴー産の干し海藻を取り出し、熱いお湯をはった浴槽に入れて20分ほど待つ。すると海藻はお湯をたっぷり含んで、何倍もの大きさに膨張した。そこにゆっくり身を浸すと、海藻エキスのぬるぬるが体中にまとわりつく。わずかに潮の香りがする大量の海藻の中にしばらくつかっていると、何だか自分がみそ汁の“具”になったような気がしないでもなかったが……。
地元の人の話によれば、海藻に含まれるミネラルやビタミン、硫黄成分などで肌もつるつるになり、吹き出物も解消されるということだったが、果たしてその通りだった。かなり長い時間、湯船につかっていたのだが、大量の海藻が浴槽の“ふた”代わりをしていたからか、それとも“布団”代わりになっていたからなのか、湯冷めをしたという感覚はなかった。
使用した海藻は、2日ほど乾かせばもう数回再利用できるらしい。アイルランドの冷たい冬をお風呂で乗り切る良い方法が見つかったのはうれしいが、ただ一つ難点を挙げるならば、浴槽からデロデロになった巨大海藻を取り出して、風呂掃除をするのが大変――ということぐらいであろうか。