2009年1月5日
(写真1)
(写真2)ひまわりほーむ(上鷺宮)にて。
あけましておめでとうございます。
毎週書かせていただいている本連載は、私の生活の句読点のような存在になっています。住まいというテーマでなかったら、ここまで続いていただろうかとも思います。それほど家というものは奥が深い。正解もないし、ひとりひとりのライフスタイルや思想、生き方によって答えは幾通りもある。だからこそ、書くことが尽きないのでしょう。
年末、あるモデルハウスを取材しました。北陸地方で業績を伸ばしているというハウスメーカーが東京で手がけている物件です。この厳しい時代に売り上げをのばしているとのことで、興味深く3軒見学しました。
基礎の考え方や呼吸をしている素材だけを使った屋根材(トタンやコロニアル、合板は“息をしない素材”とのこと)、仕上げ4寸の柱など、いろいろ右肩上がりの業績が納得できるポイントがあったのですが、足を踏み入れ最初に感心したのは、玄関アプローチの意匠でした。車1台と人がひとり通れる東京ではごく普通のガレージ兼アプローチ部分に、アールに細い溝をつくり、小さな緑を植え、ところどころ、不揃いに石を置き、古材をあしらったりしているのです(写真1)。もう1軒は、溝をくの字形に仕切り、別の視覚的な変化の付け方で、工夫をしていました(写真2)。
土地が広く、設計にもゆとりをもてる北陸地方から東京に進出し、設計者はまず、玄関や間口の狭さに閉口したようです。半地下の3階建てといういわゆるミニ戸建てだと、どうしても玄関が狭くなります。そこで、少しでも広く見えるよう考え抜いたのでしょう。
コンクリートを固めただけだと無機質でその面積なりの印象しか持てませんが、曲線や不揃いの模様は、視覚的にあそびがあって広く見えます。東京の狭さに慣れてしまうと気づかないけれど、中だけでなく外のすみずみまでしっかりこだわり抜くと、家というものはこんなに印象が変わるのだなと再確認しました。
私はこのことから、コストを徹底的に抑えるところと、少しのアップで大きな効果が得られるところを仕分け、自分の中で価値判断のものさしをつくると、家づくりはさらに楽しくなるだろうなと思いました。
今年は、様々な人の家づくりの価値観や住まい感をていねいに掘り下げて取材し、ご紹介できたらと考えています。
そして、築45年の我が家もまだまだ現役。東京での古家暮らしを今年も自分流に楽しんでいこうと思います。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

長野県生まれ。女性誌や文芸誌、新聞等に、インテリア、独自のライフスタイルを持つ人物ルポを中心に執筆。夫、12歳、8歳の4人家族。
著書に、『見えなくても、きこえなくても。〜光と音をもたない妻と育んだ絆』(主婦と生活社)、『ジャンク・スタイル』(平凡社)、『世界でたったひとつのわが家』(講談社)『自分たちでマンションを建ててみた。〜下北沢コーポラティブハウス物語〜』(河出書房新社)、『かみさま』(ポプラ社)など。【編集または文の一部を担当したもの】『白洲正子の旅』『藤城清治の世界』『昔きものを買いに行く』(以上「別冊太陽」)、『lovehome』『loving children』(主婦と生活社)、『ラ・ヴァ・パピヨン』(講談社)。最新刊は、『センス・オブ・ジャンク・スタイル』『スピリッツ・オブ・ジャンク・スチル』『ジャンク・スタイル・キッチン』(風土社)の3部作。
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