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オトナの夫婦の家づくりのコツ

2008年11月9日

写真プランニング風景グラフアンケート「夫婦の寝室一緒・別々? またその理由は?」書籍「夫婦の家」(講談社+α新書)

「えっ、なに? キミは、そんなことを考えていたのか?」

「あなたこそなによ! 今さら書斎なんて!」

 家づくりは夫婦や家族が試されるときでもあります。夫婦の本音とエゴがぶつかり合う場です。

 とくに老いに向けてのリフォームや家づくりでは顕著で、妻は住宅雑誌やいろいろな集まりなどから情報を仕入れ、夫は日ごろから忙しくて置き去りにされる。夢と現実のせめぎ合いです。こんな場面で建築士である私どもは、まるで夫と妻の仲人役のような立場になります。リフォームや家づくりは夫婦にとって、結婚、出産に次ぐ第3の試練であり、新たな人生のスタートです。

 実際に、家づくりを機に夫婦や家族の関係が修復されることも多いです。子育てが終わったあとの住まいはまるで“抜け殻”のようで、夫婦はその中に埋没してしまっている例も多くあります。長い人生から見れば、子育ての期間はあまりに短く、老後の人生があまりにも長いことが分かります。今の家は子育て優先の“子どもの家”で、そこには「夫婦」がありません。

 これから第一に考えなければならないのは自分たち「夫婦」です。「夫婦の家」の主人公は夫と妻、すなわち「男」と「女」です。子どもの親であるとともに、大人の「男と女」の家を考えることです。リビングが大人の空間であれば、家族ばかりかオープンな社交場になります。自然に人が集まり、連日ティー・パーティーやお稽古や塾としてにぎわうようになるはずです。最近、住まいづくりのお手伝いをしていて特に感じるのは、そこに「夫婦」がいない、ということです。もちろん建て主としての夫妻はいるのですが、「男と女としての夫婦」がいません。「夫婦」がいなければ「家族」も成り立ちません。

 それでは「オトナの夫婦の家」とは、いったいどんな家でしょうか。家づくりにおいて、夫婦は子どものための親ではなく、まず夫と妻なのです。しかも夫と妻は別々で、夫婦は一つではありません。なにもやっかみや恨みがあって言っているのではありません。まず夫は夫のことを、妻は妻だけのことを考えます。そして今欲しいもの、さらにちょっと先の自分を夫婦が互いに客観的に見ることがこれからの家のプランニングのコツです。

 このコラムの前身が載っていた「いい家朝日.com」に読者アンケートのコーナーがありました。「夫婦の寝室一緒・別々? またその理由は?」として現在は、そして将来は、とかなり厳しいことを聞いています。

 悲しいかな、男性に聞いた当時の状況は33%、つまり3人に一人は別々の部屋で寝ていて、今後も37%は一人寝が良いと思っているようです。

 これに対して女性は今は27%ながら、この先は“40%以上”が一人寝がよいと思っています。理由は「いびきがうるさい、就寝時間も違う(40代女性)」、「気を使わないですむ(50代男性)」「自分の時間が持てる(50代女性)」などです。

 あるいは、「主人がエアコンをきかせ過ぎる(30代女性)」「寒暖の差がある(40代女性)」などの“温度差”が夫婦別室の原因として多いようです。

 そしてとても深刻なのは、「子どもの出産時に授乳や夜泣きに『うるさいから隣の部屋へ行け』と言われて (50代女性)」とあり、「妻は寝室でテレビを見るのが好きで、私はテレビがついていると眠れない(60歳男性)」などと横暴な(?)パートナーに悩む人もいました。

 大人の夫婦の家づくリは、どうやら「夫婦の寝室」がカギのようです。

 そんな超高齢化時代の「オトナの夫婦」をテーマに、11月11日午後1時から「電通シニアビジネスセミナー『オトナの夫婦プロジェクト』」がスタートします。お茶の水女子大学名誉教授の袖井孝子さんや作家の新井満さんたちとともに出演予定です。主催は(株)電通で、東京港区東新橋の電通ホールで行われますが、ご参加には予約が必要です。対象は企業人向けのようですが、ご興味のあるお方はお問い合わせください(03−5537−7764電通シニアビジネス ご担当:矢部、渡邉)。

 また「男と女の家」の設計の体験を書きました拙著に『夫婦の家』(講談社+アルファ新書)があります。定年後の夫婦の生き方から始まる夫婦の住まいの設計思想をご参考にしていただければ幸いですが、この本を10名さまにプレゼントさせていただきたいと思います。プロフィール欄にあるアドレスよりご応募ください。

 次回は「提案!『夫・婦寝室』のつくり方」です。

プロフィール

天野彰(あまの・あきら)

岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。一級建築士事務所アトリエ4A代表。

「日本住改善委員会」(相談窓口・東京都渋谷区松涛1−5−1/TEL03−3469−1338)を組織し「住まいと建築の健康と安全を考える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研究会」などの専門委員も歴任。「日本建築仕上学会」副会長とNPO法人「国産森林認証材で健康な住環境をつくる会」代表。

著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、『六十歳から家を建てる』(新潮選書)、『地震から生き延びることは愛』(文藝春秋)、『新しい二世帯「同居」住宅のつくり方』(講談社+α新書)、新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談社 実用BOOK)など多数。

天野さんへのご質問、ご意見は天野さんのホームページから

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