左から山上浩二郎(朝日新聞編集委員)、安西祐一郎塾長、白井克彦総長
慶應義塾大学・安西祐一郎塾長
早稲田大学・白井克彦総長

JOCWの現状と将来への課題について、慶應義塾大学・安西祐一郎塾長、早稲田大学・白井克彦総長のお二人に伺った。(前編はこちら)
■大学間の協力の拠点として日本独自の発展を
山上浩二郎(コーディネーター/朝日新聞編集委員) ここからは、JOCWの課題について伺います。まず、会員数は着実に増えてはいますが、(そのスピードは?)期待ほどではないという現状をどのように捉えていますか。
安西祐一郎(慶應義塾大学塾長) 参加大学は現在でも、諸外国に比べてそれほど少ないとは言えないし、参加を希望している大学もまだまだあると聞いているので、私はそれほど心配していません。
白井克彦(早稲田大学総長) 私学の場合、この激しい競争の中で、自らコストを負担してまで参加する意義がどのくらいあるのかという問題があります。実は、日本の各大学は多くのコンテンツを既に持っているけれど、学生向けの付加価値が付いているので、公開には向かない場合があります。技術的には、遅れているどころか、むしろ進み過ぎているほどなのです。
安西 一方で学生から授業料をいただいておいて、それをすべて無償で公開するのでは理屈に合いません。ただ、JOCWはコンソーシアム(大学・団体の連合体)の形をとっていて、これはアメリカにもない我が国だけの特徴。たとえば、一つの分野に関する講義をJOCWのサイトから複数探して大学間で比較できるというのは、非常に面白い環境です。
白井 大学間でオープンになっているわけですから、例えば自分の講義の中で、他大学の講義内容を教材として活用することもできる。大学同士、教員同士の情報交換・意見交換の場としても、もっと発展していくのでないでしょうか。
山上 我が国の大学の国際化という点ではいかがでしょう。
白井 やはり日本語という言葉のカベは大きく、とくに専門用語が入ると外国人には難しいかもしれません。現在でも英語で行われている講義も公開されていますが、むしろ質の高い日本語の講義を吹き替えにするか、少なくとも字幕をつけるという工夫はしたいですね。
安西 そうすれば、アジアの学生からのアクセスは格段に増えるはずです。日本自体について学問的に世界に広く知ってもらえるというメリットも大きいですね。
山上 国内での認知度も、もっと上げたいですね。
白井 テレビ番組などと違って、もともと興味のある人しかアクセスしないわけだから、それほど認知度が低いとはいえないのでは。
安西 いちいち検索しなければならず、紙媒体のようにいつでもどこでも、というわけにもいかない。デジタル情報全般の弱点ではありますね。また、日本人の知的好奇心をどう喚起するか、これは簡単な問題ではありません。
白井 例えば、理工系ならモノを作ったり、大掛かりな実験をやったりと、講義以外にも大学には面白い映像がたくさんある。それらを公開していくというのは、一つの手かもしれません。大学受験を目指す高校生の興味を引くような内容を流すのもいいでしょう。
安西 現在は、個々の先生の自主性に頼っている面が大きいのですが、大学ぐるみでサポートするしくみも大切ですね。先生方も、公開講義で遠隔教育を行うというより、自分の優れた研究の一部を一般の人たちに知ってもらうという意識で参加してほしい。
山上 本日はありがとうございました。
◆2004年にMITから日本の主要大学にOCW活動が紹介され、日本での実践が推奨されたことを受け、複数の大学でOCWに準拠した講義公開の準備を進めました。
◆創設メンバー大学での公開準備が整った2005年5月13日に合同記者会見を行い、日本でのOCW活動の開始を正式にアナウンスし、本コンソーシアムの前身である「日本オープンコースウェア連絡会」も同時に発足しました。
◆OCW活動を日本で最初に開始した設立時のメンバーは大阪大学、京都大学、慶應義塾大学、東京工業大学、東京大学、早稲田大学(50音順)の6大学でした。
◆2005年12月に九州大学、名古屋大学、北海道大学がOCW活動の開始を決定し、連絡会に参加しました。同時にメディア教育開発センターも協力メンバーとして連絡会に参加しました。
◆2006年4月20日 「日本オープンコースウェア・コンソーシアム」(略称:JOCW)が設立されました。
◆本会は「高等教育機関において正規に提供された講義および関連情報のインターネット無償公開」であるオープンコースウェアの活動に関し、会員間での情報交換を行ない、この活動を援助し普及することを目的として設立されました。
◆本会は日本国内のOCW活動を実践する組織・団体、およびその活動を支援する組織・団体間での交流を図るほか、国際コンソーシアムにもアフィリエイトメンバーとして加盟し、海外のOCW関連機関との交流にも務めていきます。
◆2006年9月、関西大学、筑波大学、同志社大学がJOCWの新たな会員になりました。
◆2006年10月京都精華大学、立命館大学、立命館アジア太平洋大学が正会員として、財団法人高度映像情報センター(AVCC)、NPO法人サイバーキャンパスコンソーシアムTIES(CCC−TIES)が賛助会員としてJOCWに加盟しました。
◆2007年4月NPO法人日本イーラーニングコンソーシアムが賛助会員として加盟しました。
◆2007年8月女子栄養大学が正会員として、NPO法人クリエイティブ・コモンズ・ジャパンが賛助会員として加盟しました。
◆2007年11月明治大学が正会員として加盟しました。
◆2008年1月会則を変更し、准会員を設け、非営利団体は准会員とし、賛助会員として企業に加盟を呼びかけていくこととしました。また、2008年度より会費制に移行することを決定しました。
◆2008年1月朝日新聞社 ディジタルメディア本部、NTTレゾナント(株)、東京電機大学出版局が賛助会員として加盟しました。
◆2008年3月国連大学が正会員として、またメディアサイト(株)、(株)シーディーネットワークス・ジャパン、(株)メディア・リンク、(株)デジタル・ナレッジが賛助会員として加盟しました。
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