2008年10月13日
電卓のトップメーカー・カシオ計算機がウェブ上で公開している高精度計算サイトが、その機能と利便性から一部で話題になっています。統計関数など専門的な計算式から、日常生活のお金や暦、健康に関する計算まで、幅広い用途に対応しています。目立った宣伝をしていないのに口(くち)コミで利用者が増えて、現在では週に約15万ページビューを記録するまでになっています。
■関数やこよみ・健康管理にも
私のように「計算」と聞いただけで尻込みしたくなる数字に弱いタイプは、トップページ右側の「専門編」に並ぶ「対数正規分布」「ガンマ関数」などの項目を見ただけで、自分とは無縁のものと敬遠してしまいそうです。でも、左側の「生活編」ならわかりやすく実用的です。
人気が高いのは「健康の計算」コーナー。この中の「健康診断」欄には基礎代謝、適正体重、脂質、血圧、心拍数などおなじみの用語が並んでいます。継続的に自分で数値を調べて入力→計算し、健康管理に役立てることが出来ます。
また「運動」の欄には「一日に歩いた複数区間の全消費カロリー」、「酒・たばこ」の欄には「タバコを吸って何歳まで生きられるか?」といったドキリとするような項目もあります。カシオ広報部は「専門機関のホームページなどから引用して計算式を作りました。あくまで参考情報として、サービス規約を守ったうえ自己責任でのご利用を」と話しています。
もちろん、このサイトの真価は、より高度で専門的な利用方法でこそ発揮されます。人気の高い計算式のベスト10に「三角関数」の関係式が複数入っていることからもある程度数学に親しんでいる層が利用していることがうかがえます。
サイトに600以上ある計算式のうち最も利用頻度が高いのは「底辺と高さから角度と斜辺を計算」。「角度と底辺から斜辺と高さを計算」も上位に入っています。面積体積の計算式もよく使われることから、建築関係、さらには日曜大工などの際に利用されることが多いのではないか、と想像されます。
「こよみの計算」もよく利用されています。特に人気が「九星カレンダー」。世の中、運勢を気にする人は少なくないようです。
もともと同社は、自社製品に搭載することを目指して高度な計算技術を研究していました。この中ですぐに商品化するのは難しいものをサイトに盛り込んで、一般向けに無料提供することになりました。
同社研究開発センターの伊藤久志さんは「複雑な式の計算では桁(けた)数の関係などから誤差が生じることがありますが、一つの計算で桁数を変えて2回計算し、精度を高めています。微少な数値やπを含む計算、特殊関数なども精度面で工夫しています」と説明します。
■携帯向けや英語版も検討
06年10月に公開されたこのサイトは、大学の研究者を中心にした「口コミ」などで、その性能が少しずつ評判になったようです。
「リピーター」が多いことも特徴です。カシオ側も計算式の項目を増やしながら、利用者アンケートをするなどして専門編、生活編ともに利用者の要望に対応してきました。
ユーザー登録すれば、自作の計算式を登録することも出来ます。この方法によって「CO2はどれくらい地球の温度・海面を上げるか」「カードゲームで目的のカードがある確率」など、多種多様な計算式が使えるようになってきました。
人気の高まりを受けて、今年9月にはBBS(電子掲示板)のコーナーを設けて「計算好き」の集まりの中での質疑応答、意見交換からサービスをより充実させ、利用を活発化させることを目指しています。
また「携帯電話で利用したい」との声も多く、同社は将来の検討課題にしています。さらに英語圏に向けた展開も視野に入れていて、ゆくゆくは「Keisan(計算)を国際語にして、検索ならグーグル、計算ならカシオという国際的な評価を確立したい」と意欲を見せています。(及川智洋)